MENEHUNE BEACH STORE 店主のブログ
ブログ内検索
カテゴリー
プロフィール
HN:
menehune
年齢:
60
性別:
男性
誕生日:
1964/09/15
職業:
サーフショップやってます
趣味:
ランニング、作文、お絵かき、料理、丸太切り、丸太割り、波乗り
自己紹介:
ショップのオープンは2001年。それ以来、ロングボードをベースに、フィッシュ、ボンザー、シングルフィン、ニーボード、パイポとさまざまな種類のサーフボードを作り、試してきました。
還暦を過ぎて、BASIピラティスのマットインストラクターの資格を取得。年齢に関係なく調子良く動けるカラダ目指しています。
還暦を過ぎて、BASIピラティスのマットインストラクターの資格を取得。年齢に関係なく調子良く動けるカラダ目指しています。
アーカイブ
カウンター
仕事場の足元に放置されたホコリだらけのCD-RをDVDドライブに入れてみたら、ギコギコと音を立てながらたくさんのフォルダが表示されました。
開いてみればハワイの古い写真。ハワイといっても皆さんが大好きなオアフ島じゃありません。ビッグアイランド、ハワイ島です。
ハワイ島と言えば…
ワイキキと違って真昼間でも誰も歩いていない寂しいヒロの街。ショッピングが楽しめるのは日用品と食料くらい。
雨ばっかりです。
見渡す限り、真っ黒で殺風景な溶岩大地。
古くさいハワイアンフード。
カルアピッグ、アヒポキ、オピヒ、紫芋、ポイに飲み物はカヴァ。
アメリカでも最大級の牧場があるので肉がたくさん。日本で売ってるUSビーフとは大違いで、柔らかくて肉の味が濃い赤みの肉が激安。
海はワイルド。
ヘヴィーなローカル登場。
…と思っていたらこの人、ものすごい笑顔で超フレンドリーだったりして…。
波に気をとられていると椰子の実にアタマをかち割られる危険な島。
一晩中、大きな波が地響きを立てて崩れるので眠れやしません。
以下は最初にハワイ島を旅行したときに書いた旅行記の一部です。最初の良くなかった印象が、いつのまにか良くなっていくところです。
ハワイ島
気がつくといつのまにか飛行機の窓からは陸地が見えている。視界に飛び込んできたのは「黒」。木々の緑でもなく、ハワイ特有の赤い土でもなく黒々とした大地がただ広がっている。南国のリゾートの象徴である椰子の木と白い砂浜も乏しい海岸線。植物は黒い大地に乾いて枯れかけたような色でまだら模様を力なく描き、残りは圧倒的な「黒」だ。ハワイ島、通称ビッグアイランドの第一印象は寒々しく荒涼としたイメージから始まった。
空港の廻りは一面の溶岩平原。膨れ上がり裂けた地面がさらに盛り上がり、黒い岩盤が幾重にも重なり合って、かつてここで繰り広げられたであろう自然の営みの凄まじさを容易に想像できる大地が見渡す限り広がっている。そしてそのはるか向こうには、真っ青な海が広がっている。他に何もなく、いやが上にも強調される青い海は、私たち海で遊ぶサーファーならだれでも一度は経験したことがある、あのよそよそしさ。人を寄せ付けない時の海の表情そのものである。圧倒的な力で自然の大きさと人間の非力さを見せ付けているときの表情をしている。
空港の施設は、すべて溶岩の上にある。あたり見回しても他に目に付く人工的な建造物は、遠くを走るハイウェイだけだ。予約しておいた車を借り出して、島の反対側に位置するヒロという街を目指して走り出す。
時速60マイル(1マイル=1.6km)にスピードを保ち数十分走るが、周りの風景は変わらない。周りに見えるのはただひたすら黒い溶岩の大地。ゆるやかな起伏の中、ハイウェイはどこまでも真っ直ぐに溶岩の中を走り続けている。 左手遠くに見える海岸線には、波乗りに適していると思われる波がいたるところでブレイクしている。そこへ向かう道はあるが、未舗装路をレンタカーで走ることは禁止されている。どちらにしてもファミリーセダンのレンタカーでは無理かもしれない。大きなタイアの4DWが必要そうだ。
海沿いの道は、そのまま島の北端へと続いているR270、私たちはコハラ・マウンテンとマウナ・ロアの間を走るHWY19をキープし、まずは牧場の街ワイメアを目指す。道は曲がりくねった登り坂になり、急に緑が豊かになってくる。ワイメアは緑豊かな美しい街だ。ここでは地元産の美味しいステーキを楽しんだ後、再びHWY19を先へと進む。今回は予定にないが時間を作ってゆっくりと見てみたい街だ。
ワイメアから先は溶岩大地に代わり、こんどは行けども行けども緑の下草が生えた牧場風景が続く。牛やヒツジ、ニワトリにブタ、ヤギなどがのんびりと草を食む中、時速60マイルで走り続けると道はやがて海に到達し、海岸沿いを走り始める。
ハマクアコーストといわれるハワイ島の北海岸である。風景はまた急激に変わり、島の東側とはまったく対照的な風景を見せ始める。強い日差しの下、緑の森の向こうにすいこまれそうな真っ青な海が広がったかと思うと、コーナーを一つ曲がっただけで薄暗い熱帯雨林の切り通しになり、空からは大粒の雨が叩きつけるように降り始める。渓谷の尾根を結ぶ高い橋を渡っていると、大粒の雨は止み、再び強烈な太陽が照りつけはじめる。色とりどりの花を付けた樹木はいっそう鮮やかな色を発散し、わずかに空けたウィンドウの隙間からは花の香りが入り込んでくる。
空港から約150kmほどの道のりであるが、変化に富んだ自然と気候は長いフライトで疲れた旅行者をも楽しませてくれる。程無くして、HILO CITY LIMITSの標識が現れ、ヒロの街に近づいたことを教えてくれる。
午後遅い時間のヒロの街は暗く沈んでいた。ホテルからダウンタウンまでは、歩いて5分ほどの距離だが、すれ違う人もいない。時がくればオープンするのかどうかも判らない商店やオフィスの閉ざされたドアが続く。住人たちは気配を消してしまったかのような静けさだ。出歩くのを危ぶんでしまう雰囲気さえある。
頭の芯は重く、背中はこわばり、だんだんと足取りも重くなる。自宅を出てから、このヒロの街まで、移動した距離と時間を考えると無理もない。重く垂れ下がるような雨雲は今にも降り出しそうな気配である。
ホテルで教えてもらった住所を探し、3ブロックほど行ったところで目的地を通り越してしまったことに気がつく。思っていたよりもずっと近くだったようだ。というよりはヒロの街が小さいのだ。1ブロック戻ったところに目的の店を見つけた。長旅の疲れを癒そうと教えてもらったのは、ロミロミマッサージの店であった。
ロミロミは普通のマッサージとは違い、施術する人の祈りから始まる。リンパの流れを促進し、マナを相手に注ぎ込むというスピリチュアルなマッサージである。ロミロミ(揉みこむこと)という名称であるが、日本のマッサージのように揉みこむのとは全く違う感触だ。
ろうそくに照らされた薄暗い部屋。低く流れる音楽。時差で眠気があるが、眠りには落ちない。身体の筋肉が果てしなく弛緩し、穏やかな気持ちが広がっていくが、逆に神経は研ぎ澄まされていくようだ。途中で降り始めた雨の音や低く流れる音楽が大きく耳に感じられるようになり、時間の感覚がゆがんでくる。
「これで終わりです。ありがとう」とささやくような声がした。身支度を整えて部屋から出なければいけないのだが、身体をうまく動かすことができない。魂だけが違う世界へ行ってしまったような気分だ。なんとか起き上がりよろよろと外へ出る。私たちがロミロミの予約をしているときに、マッサージが終わった男性が呆然とした表情で出てきたが、私もそれとまったく同じ表情をしていると女房が笑う。外へでると、日が沈んだ雨後の街は急に気温が下がり、上着が必要なほどだ。
ヒロの夜は不思議だ。人気の無い街は闇にさらに深く静かに沈みこみ、熱帯植物の森が存在感を示しはじめる。これまで聞いたことのない音程とリズム、奇妙なかん高い澄んだ鳴き声がジャングルの闇の中から響きはじめる。明るい満月の光に照らされたジャングルからあふれだす濃厚な香りは、豊かな土壌の印だ。開け放たれた窓からは、奇妙な鳴き声が涼しい風とともに流れ込み、いつのまにか快適な眠りへと引き込まれて行く。
ヒロに滞在している観光客のティピカルな観光先は火山かもしれない。キラウエア火山の見物は、19世紀の時代から観光スポットの一つであった。しかしその光景を実際に目にしてしまったなら、単なる観光という言葉を使うことはためらわれるに違いない。それはそこを訪れる人、全てにとっての特別な体験である。東へむかって移動する大陸プレートに乗って作られてきたハワイ諸島のパワーの源がここに存在している。ハワイ諸島の一番新しい島であるハワイ島の西の海底では、水面下900mのところまで、新しい島が隆起しつつある。
ヒロで二泊した私たちは、再びやってきた道を引き返し、コナの街へと向かった。
途中、ヒロのすぐ北、HWY19号沿いにあるHONOLI’I BEACHというポイントをチェックしてみる。静かなビーチパークを想像していたが、ビーチへ降りる坂道の路肩にはびっしりと車が停められ、クリスマスウェイブを楽しもうというロコたちで一杯である。なんとかスペースを見つけ車を停めて波をチェックする。小さな湾にはいくつかのピークがあり、ワイドな波がブレイクしているのが見える。この日のコンディションがどういう状況なのか、ふと立ち寄ってみただけの旅行者には判らない。もしかしたら、もう少し小さいときのほうが良い波のポイントなのかもしれない。
ボードはトランクのなかに入っているし、ショーツ一枚になれば入れる状況だったが、先へと進むことにする。
カイルア・コナはコナ空港から10マイルほど南にある街だ。北側から吹いてくるトレードウィンドは、マウナ・ロアやコハラの山々を登っていくうちに湿気を吐き出し、コナに乾いた風を送りこむ。吐き出された湿気は、ヒロ地区に雨をもたらし、雨の多いヒロと乾いたリゾート、カイルア・コナのイメージを作り出している。
島の北側を横断し、ワイメアの街と牧場を抜け、コナへ向けて再び溶岩ロードを走る。緑あふれるヒロサイド、地球上のパワーポイントの一つでもあるキラウエア火山、エベレストをはるかにしのぐ容積を持つマウナ・ロアの山。この島が持っている自然の多様性はいにしえから様々な神話を作り出してきた。そう、この島は火の神ペレが支配している島なのだ。火を吐き、怒り狂うペレが作り出した大地。人間の感覚を超えたスケールの自然に触れていると、神話に登場する神々の存在が身近になる。素直に自然を畏れる気持ちにさせられてしまう。私はいつのまにか、荒涼とした溶岩の大地を美しいと感じるようになっていた。
こんな感じです。
ハワイ島の飛行場は飛行機から滑走路に直接降りました。周囲は何も無く、見渡す限り真っ黒な溶岩。まさに荒涼という言葉がぴったりでした。そして、ヒロの最初の印象は、なんて寂しい雰囲気の街だろう…です。なんだかすごいところに来ちまったなあ…と思いました。
でも面白いもので、だんだんそれが良くなってきます。
「寂しいヒロの街」が「静かで趣きがあるヒロの街」に変わり、キラウエアを見たあとでは、真っ黒な溶岩の大地が神々しく見えるようになってしまいました。
カイルア・コナは島の西側にある海辺の小さなリゾートタウンです。
カイルアから少し南へ下れば、高原の涼しい気候になり、さらに南へ下ると砂漠を思わせる暑く乾いた気候に変わります。島の南端を回った先は火山です。火口跡、活動を続けている火口。流れ出した溶岩で覆われた土地は果てしなく、気が遠くなるような広さです。
古い写真のせいで、今日は脱線。
ああ、ハワイ島行きたいなあ。
ちなみに激安USビーフ(HAWAIIANビーフか…)、かなり旨いです。
開いてみればハワイの古い写真。ハワイといっても皆さんが大好きなオアフ島じゃありません。ビッグアイランド、ハワイ島です。
ハワイ島と言えば…
ワイキキと違って真昼間でも誰も歩いていない寂しいヒロの街。ショッピングが楽しめるのは日用品と食料くらい。
雨ばっかりです。
見渡す限り、真っ黒で殺風景な溶岩大地。
古くさいハワイアンフード。
カルアピッグ、アヒポキ、オピヒ、紫芋、ポイに飲み物はカヴァ。
アメリカでも最大級の牧場があるので肉がたくさん。日本で売ってるUSビーフとは大違いで、柔らかくて肉の味が濃い赤みの肉が激安。
海はワイルド。
ヘヴィーなローカル登場。
…と思っていたらこの人、ものすごい笑顔で超フレンドリーだったりして…。
波に気をとられていると椰子の実にアタマをかち割られる危険な島。
一晩中、大きな波が地響きを立てて崩れるので眠れやしません。
以下は最初にハワイ島を旅行したときに書いた旅行記の一部です。最初の良くなかった印象が、いつのまにか良くなっていくところです。
ハワイ島
気がつくといつのまにか飛行機の窓からは陸地が見えている。視界に飛び込んできたのは「黒」。木々の緑でもなく、ハワイ特有の赤い土でもなく黒々とした大地がただ広がっている。南国のリゾートの象徴である椰子の木と白い砂浜も乏しい海岸線。植物は黒い大地に乾いて枯れかけたような色でまだら模様を力なく描き、残りは圧倒的な「黒」だ。ハワイ島、通称ビッグアイランドの第一印象は寒々しく荒涼としたイメージから始まった。
空港の廻りは一面の溶岩平原。膨れ上がり裂けた地面がさらに盛り上がり、黒い岩盤が幾重にも重なり合って、かつてここで繰り広げられたであろう自然の営みの凄まじさを容易に想像できる大地が見渡す限り広がっている。そしてそのはるか向こうには、真っ青な海が広がっている。他に何もなく、いやが上にも強調される青い海は、私たち海で遊ぶサーファーならだれでも一度は経験したことがある、あのよそよそしさ。人を寄せ付けない時の海の表情そのものである。圧倒的な力で自然の大きさと人間の非力さを見せ付けているときの表情をしている。
空港の施設は、すべて溶岩の上にある。あたり見回しても他に目に付く人工的な建造物は、遠くを走るハイウェイだけだ。予約しておいた車を借り出して、島の反対側に位置するヒロという街を目指して走り出す。
時速60マイル(1マイル=1.6km)にスピードを保ち数十分走るが、周りの風景は変わらない。周りに見えるのはただひたすら黒い溶岩の大地。ゆるやかな起伏の中、ハイウェイはどこまでも真っ直ぐに溶岩の中を走り続けている。 左手遠くに見える海岸線には、波乗りに適していると思われる波がいたるところでブレイクしている。そこへ向かう道はあるが、未舗装路をレンタカーで走ることは禁止されている。どちらにしてもファミリーセダンのレンタカーでは無理かもしれない。大きなタイアの4DWが必要そうだ。
海沿いの道は、そのまま島の北端へと続いているR270、私たちはコハラ・マウンテンとマウナ・ロアの間を走るHWY19をキープし、まずは牧場の街ワイメアを目指す。道は曲がりくねった登り坂になり、急に緑が豊かになってくる。ワイメアは緑豊かな美しい街だ。ここでは地元産の美味しいステーキを楽しんだ後、再びHWY19を先へと進む。今回は予定にないが時間を作ってゆっくりと見てみたい街だ。
ワイメアから先は溶岩大地に代わり、こんどは行けども行けども緑の下草が生えた牧場風景が続く。牛やヒツジ、ニワトリにブタ、ヤギなどがのんびりと草を食む中、時速60マイルで走り続けると道はやがて海に到達し、海岸沿いを走り始める。
ハマクアコーストといわれるハワイ島の北海岸である。風景はまた急激に変わり、島の東側とはまったく対照的な風景を見せ始める。強い日差しの下、緑の森の向こうにすいこまれそうな真っ青な海が広がったかと思うと、コーナーを一つ曲がっただけで薄暗い熱帯雨林の切り通しになり、空からは大粒の雨が叩きつけるように降り始める。渓谷の尾根を結ぶ高い橋を渡っていると、大粒の雨は止み、再び強烈な太陽が照りつけはじめる。色とりどりの花を付けた樹木はいっそう鮮やかな色を発散し、わずかに空けたウィンドウの隙間からは花の香りが入り込んでくる。
空港から約150kmほどの道のりであるが、変化に富んだ自然と気候は長いフライトで疲れた旅行者をも楽しませてくれる。程無くして、HILO CITY LIMITSの標識が現れ、ヒロの街に近づいたことを教えてくれる。
午後遅い時間のヒロの街は暗く沈んでいた。ホテルからダウンタウンまでは、歩いて5分ほどの距離だが、すれ違う人もいない。時がくればオープンするのかどうかも判らない商店やオフィスの閉ざされたドアが続く。住人たちは気配を消してしまったかのような静けさだ。出歩くのを危ぶんでしまう雰囲気さえある。
頭の芯は重く、背中はこわばり、だんだんと足取りも重くなる。自宅を出てから、このヒロの街まで、移動した距離と時間を考えると無理もない。重く垂れ下がるような雨雲は今にも降り出しそうな気配である。
ホテルで教えてもらった住所を探し、3ブロックほど行ったところで目的地を通り越してしまったことに気がつく。思っていたよりもずっと近くだったようだ。というよりはヒロの街が小さいのだ。1ブロック戻ったところに目的の店を見つけた。長旅の疲れを癒そうと教えてもらったのは、ロミロミマッサージの店であった。
ロミロミは普通のマッサージとは違い、施術する人の祈りから始まる。リンパの流れを促進し、マナを相手に注ぎ込むというスピリチュアルなマッサージである。ロミロミ(揉みこむこと)という名称であるが、日本のマッサージのように揉みこむのとは全く違う感触だ。
ろうそくに照らされた薄暗い部屋。低く流れる音楽。時差で眠気があるが、眠りには落ちない。身体の筋肉が果てしなく弛緩し、穏やかな気持ちが広がっていくが、逆に神経は研ぎ澄まされていくようだ。途中で降り始めた雨の音や低く流れる音楽が大きく耳に感じられるようになり、時間の感覚がゆがんでくる。
「これで終わりです。ありがとう」とささやくような声がした。身支度を整えて部屋から出なければいけないのだが、身体をうまく動かすことができない。魂だけが違う世界へ行ってしまったような気分だ。なんとか起き上がりよろよろと外へ出る。私たちがロミロミの予約をしているときに、マッサージが終わった男性が呆然とした表情で出てきたが、私もそれとまったく同じ表情をしていると女房が笑う。外へでると、日が沈んだ雨後の街は急に気温が下がり、上着が必要なほどだ。
ヒロの夜は不思議だ。人気の無い街は闇にさらに深く静かに沈みこみ、熱帯植物の森が存在感を示しはじめる。これまで聞いたことのない音程とリズム、奇妙なかん高い澄んだ鳴き声がジャングルの闇の中から響きはじめる。明るい満月の光に照らされたジャングルからあふれだす濃厚な香りは、豊かな土壌の印だ。開け放たれた窓からは、奇妙な鳴き声が涼しい風とともに流れ込み、いつのまにか快適な眠りへと引き込まれて行く。
ヒロに滞在している観光客のティピカルな観光先は火山かもしれない。キラウエア火山の見物は、19世紀の時代から観光スポットの一つであった。しかしその光景を実際に目にしてしまったなら、単なる観光という言葉を使うことはためらわれるに違いない。それはそこを訪れる人、全てにとっての特別な体験である。東へむかって移動する大陸プレートに乗って作られてきたハワイ諸島のパワーの源がここに存在している。ハワイ諸島の一番新しい島であるハワイ島の西の海底では、水面下900mのところまで、新しい島が隆起しつつある。
ヒロで二泊した私たちは、再びやってきた道を引き返し、コナの街へと向かった。
途中、ヒロのすぐ北、HWY19号沿いにあるHONOLI’I BEACHというポイントをチェックしてみる。静かなビーチパークを想像していたが、ビーチへ降りる坂道の路肩にはびっしりと車が停められ、クリスマスウェイブを楽しもうというロコたちで一杯である。なんとかスペースを見つけ車を停めて波をチェックする。小さな湾にはいくつかのピークがあり、ワイドな波がブレイクしているのが見える。この日のコンディションがどういう状況なのか、ふと立ち寄ってみただけの旅行者には判らない。もしかしたら、もう少し小さいときのほうが良い波のポイントなのかもしれない。
ボードはトランクのなかに入っているし、ショーツ一枚になれば入れる状況だったが、先へと進むことにする。
カイルア・コナはコナ空港から10マイルほど南にある街だ。北側から吹いてくるトレードウィンドは、マウナ・ロアやコハラの山々を登っていくうちに湿気を吐き出し、コナに乾いた風を送りこむ。吐き出された湿気は、ヒロ地区に雨をもたらし、雨の多いヒロと乾いたリゾート、カイルア・コナのイメージを作り出している。
島の北側を横断し、ワイメアの街と牧場を抜け、コナへ向けて再び溶岩ロードを走る。緑あふれるヒロサイド、地球上のパワーポイントの一つでもあるキラウエア火山、エベレストをはるかにしのぐ容積を持つマウナ・ロアの山。この島が持っている自然の多様性はいにしえから様々な神話を作り出してきた。そう、この島は火の神ペレが支配している島なのだ。火を吐き、怒り狂うペレが作り出した大地。人間の感覚を超えたスケールの自然に触れていると、神話に登場する神々の存在が身近になる。素直に自然を畏れる気持ちにさせられてしまう。私はいつのまにか、荒涼とした溶岩の大地を美しいと感じるようになっていた。
こんな感じです。
ハワイ島の飛行場は飛行機から滑走路に直接降りました。周囲は何も無く、見渡す限り真っ黒な溶岩。まさに荒涼という言葉がぴったりでした。そして、ヒロの最初の印象は、なんて寂しい雰囲気の街だろう…です。なんだかすごいところに来ちまったなあ…と思いました。
でも面白いもので、だんだんそれが良くなってきます。
「寂しいヒロの街」が「静かで趣きがあるヒロの街」に変わり、キラウエアを見たあとでは、真っ黒な溶岩の大地が神々しく見えるようになってしまいました。
カイルア・コナは島の西側にある海辺の小さなリゾートタウンです。
カイルアから少し南へ下れば、高原の涼しい気候になり、さらに南へ下ると砂漠を思わせる暑く乾いた気候に変わります。島の南端を回った先は火山です。火口跡、活動を続けている火口。流れ出した溶岩で覆われた土地は果てしなく、気が遠くなるような広さです。
古い写真のせいで、今日は脱線。
ああ、ハワイ島行きたいなあ。
ちなみに激安USビーフ(HAWAIIANビーフか…)、かなり旨いです。
この記事にコメントする
Create your own visitor map!